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良質な木材と光が降り注ぐ美しい森は、人が手入れをして初めて生まれます。
切り出した森の木は、木材やエネルギー資源として余すことなく活用されます。
光・色・音・香り。森にはさまざまな表情があり、発見があります。
森が教えてくれる、たくさんのこと。
ゼロエミッションの木材利用
ゼロエミッションとは、廃棄物をできるだけ出すことなく資源を有効に活用することです。
下川町森林組合は、森林資源の有効活用をもって、森を守り育てることにつなげています。例えば、1本の原木は円柱・集成材、木炭に加工され、加工の際に出るオガコや端材は木質バイオマスボイラーの燃料に、未形成炭は土壌改良材や融雪材に利用されます。
また、木炭製造で生じる煙を冷やすことで製造される木酢液(もくさくえき)は、そのままで商品化する以外に、材木に浸透させて燻すことで防腐効果のある燻煙材をつくるなど有効に利用されています。さらに、間伐時などに切り出されたトドマツの枝葉を蒸留して精油(エッセンシャルオイル)を抽出する(現在は株式会社フプの森「外部リンク」に事業承継)など、「森の恵みを余すことなく」活用しています。
ゼロエミッションの木材加工


下川町森林組合 組合長
山下邦廣さん

バイオマスエネルギーの活用
(1)木質バイオマスボイラーの導入
積雪寒冷地である北海道では、暖房に使用する化石燃料に依存する傾向が強いことなどから、CO2の排出量が多く、民生(家庭)部門におけるCO2の排出割合は、全国と比べて高い数値となっています。そうした中で、大幅なCO2の排出削減を図るため、平成16年度に、町内の温泉施設に木質バイオマスボイラーが北海道で初めて導入されたのを皮切りに、幼児センター(未就学児の保育施設)、森林組合の集成材工場や農業施設などにも導入され、現在町内に6基の木質バイオマスボイラーが稼動しています。なお、原料は町内の製材工場で排出される端材や林地残材などを使用しており、未利用資源の有効活用を図っています。
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燃料となる木くず | 五味温泉 木質バイオマスボイラー |
幼児センター 木質バイオマスボイラー |
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(2)地域熱供給システム(地域暖房施設)
下川町における木質バイオマスボイラーにおいて大きな特徴の一つとして挙げられるのが、役場周辺の4施設(役場庁舎、消防、公民館、総合福祉センター)を一つの木質バイオマスボイラーで補う「地域熱供給システム(地域暖房)」です。この施設の稼動により、これまで別々の施設に設置されていた重油ボイラーの使用頻度が少なくなるとともに、CO2の削減効果がありました。
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役場周辺熱供給施設 |
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(3)木質原料製造施設



木質バイオマスボイラーの燃料となる木くずは、森林内に残された林地残材や河川・林道支障木を原料としています。それらを集積するとともに、木くずの製造・供給をする施設として、平成22年に下川町木質原料製造施設を整備しました。
木質バイオマスボイラーの導入実績 | |
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平成16年度 | 五味温泉 木質バイオマスボイラー 1基 定格熱出力:180kW 用途:温泉の加温、給湯、施設の暖房 |
平成17年度 | 下川町立幼児センター 木質バイオマスボイラー 1基 定格熱出力:100kW 用途:施設の暖房 |
平成19年度 | 下川町森林組合 集成材工場 木質資源利用ボイラー 1基 最高使用圧力:0.7 Mpa 最大蒸発量: 1 ton/hr 用途:木材乾燥、冬季の暖房用 |
平成20年度 | 農業用育苗ハウス 木質バイオマスボイラー 1基 定格熱出力:580kW 用途:施設の暖房 |
平成21年度 | 地域熱供給システム(役場周辺) 木質バイオマスボイラー 1基 定格熱出力:1,200kW 用途:施設の暖房 |
平成22年度 | 高齢者複合施設(あけぼの園等) 木質バイオマスボイラー 1基 定格熱出力:450kW 用途:給湯、施設の暖房 |
バイオマス(biomass)とは
生物資源【bio (バイオ)】の量【mass(マス)】を表わす概念で、一般的には「再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」をバイオマスと呼んでいます。木質バイオマスエネルギーとは、林地残材や端材などの生物資源を燃やすなどして熱などのエネルギーとして利用することです。

下川町森林総合産業推進課
主幹 高橋祐二さん

エコハウスの建設



(1)エコハウス 美桑(みくわ)
高気密・高断熱・省エネを実現した環境共生型モデル住宅「エコハウス 美桑(みくわ)」が平成22年3月に完成しました。建設資材には町内産FSC®認証材を積極的に活用し、建築は地元の工務店が手がけました。
本施設は下川産材を約98%使用することで、木材の輸送にかかるウッドマイルズを劇的に減らし、CO2削減に貢献。資材の木材によるCO2固定や、バイオマスの積極的な利用によりCO2排出を最小限に抑えるなど、施設全体における低炭素なシステムを目指しています。
また、建設にあたっては、FSC®プロジェクト認証(部分認証)も取得し、建物の環境性能を評価するCASBEEにおいて最高評価であるSランクを受けています。
施設内部には地中熱ヒートポンプ、ペレットボイラー・ストーブなどの次世代環境技術を導入しており、訪れた方々に体験していただくことで、環境配慮型のライフスタイルを提案し、住宅への導入に向けた普及啓発を行っています。
【外部リンク】 環境省エコハウス事業
※このエコハウスの構造材/下地材/造作材/仕上材/外構材/三層合板建具/三層合板家具にFSC®認証材を使用しています。

(2)下川型エコ住宅の建設促進
エコハウスに導入した「ウッドファイバーの断熱材」を活用した高気密・高断熱作用や「燻煙を施したFSC®認証材」の活用、「木質ペレットボイラー」による暖房システムなどを町営住宅の建設に導入することで、町民の方々に対して、下川型エコ住宅の提案、普及を行っています。
また、町民の方々が住宅の新築や改築をする際に、エコハウスに導入した環境負荷低減技術機器などを導入すると、費用の一部を助成する制度を制定しています。(助成対象の例:FSC®森林認証材を含む地域材、ペレットストーブ、太陽光発電システムの導入など)
エコハウスとは
環境省「21世紀型環境共生型住宅のモデル整備事業」により建設された環境配慮型住宅のことを指し、それぞれの地域特性や気候風土にあわせた住宅を建設し、広く普及啓発を行うことを目的に全国20箇所に建設されました。
CASBEEとは
CASBEE(Comprehensive Assessment System for Building Environmental Efficiency:建築物総合環境性能評価システム)とは、建築物を環境性能で評価し格付けする手法。
省エネや省資源・リサイクル性能といった環境負荷削減の側面はもとより、室内の快適性や景観への配慮といった環境品質・性能の向上の側面も含めた建築物の環境性能を総合的に評価するシステムであり、エコハウス美桑は最高のSランクの評価を受けています。
ウッドマイルズとは
ウッド(wood)・マイルズ(miles)を掛け合わせた言葉。
主に建築物に使用される木材の産地から消費地までの輸送距離(ウッドマイルズ)に関する指標であり、木材の輸送距離を短縮し、輸送エネルギーの削減や地域材需要の活性化を目指す取り組みです。

エコハウス設計者 建築家
櫻井百子さん

カーボン・オフセットの取り組み
下川町では、豊かな森林資源を活かした取り組みの推進を図る一環として、環境省のJ-VER制度に準拠したカーボン・オフセットの取り組みを推進しています。
本事業の推進にあたっては、平成20年に北海道内で林産業が盛んな足寄町、滝上町、美幌町と下川町を合わせた4町が連携する「北海道森林バイオマス吸収量活用推進協議会」を設立し、全国に先駆け、4町連携による間伐促進型森林づくり・木質バイオマス活用事業を実施することで、都市部の生活・企業活動で排出されるCO2をオフセットし、地球温暖化防止活動を推進しています。
北海道森林バイオマス吸収量活用推進協議会
(略称フォーレスト)

設立
平成20年7月
(平成23年10月地方自治法に基づく法定協議会へ移行)
構成自治体
足寄町 (人口7,554人、森林面積8,742ha)
下川町 (人口3,644人、森林面積4,210ha)
滝上町 (人口3,034人、森林面積2,600ha)
美幌町 (人口21,288人、森林面積1,098ha)
※平成24年1月末、3月末時点 (森林面積は平成23年3月時点)
【外部リンク】 北海道森林吸収量活用推進協議会
カーボン・オフセット(Carbon offset)とは
日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、まず企業や団体、個人などが排出削減努力を行った上で、削減困難な排出量について他の場所での排出削減・吸収量でその全部又は一部を埋め合わせることをいいます。
J-VER制度とは
国内におけるプロジェクトにより実現されたCO2排出削減・吸収量をクレジットとして認証する環境省が創設した制度です。下川町を含む、北海道森林バイオマス吸収量活用推進協議会では森林吸収プロジェクトとして、間伐促進による森林づくりの事業が、また、削減プロジェクトとして、木質バイオマスボイラーを導入し、森林バイオマスエネルギーを活用した事業が登録・認証されています。
> 環境省参考資料(pdf)

下川町環境未来都市推進課
主査 樋口 知志さん
